せっかく採用された会社だけれど、試用期間中に退職したい……。
そんな悩みを抱える人に向けて、早期退職のメリット・デメリット、
法律上のルール、後悔しない判断基準を解説します。
上司への伝え方、メール例文、退職後の生活費や失業保険の注意点も紹介します。
「せっかく採用された会社なのに、もう辞めたい……」
「まだ入社して1か月。こんなに早く退職してもいいのだろうか?」
「試用期間中に辞めたら、次の転職で不利になるのでは?」
期待と希望を持って入社した会社。
面接では仕事内容も職場の雰囲気もよさそうだったのに、
実際に働いてみると、想像と違うことがあります。
上司との相性が合わない。
聞いていた仕事内容と違う。
毎日の残業が多い。
職場の人間関係になじめない。
あるいは、仕事に対する自信がなくなり、
「自分はこの会社に向いていないのかもしれない」と悩む人もいるでしょう。
しかし、早期退職にはメリットもあれば、デメリットもあります。
試用期間中だから必ず辞めた方がよいわけでも、
せっかく採用されたから必ず我慢すべきというわけでもありません。
大切なのは、今の悩みが時間とともに改善するものなのか、
それとも働き続けることで
心身や生活に大きな負担がかかるものなのかを見極めることです。
この記事では、試用期間中の退職に関する法律上のルール、メリット・デメリット、
退職を判断するポイント、上司への伝え方、退職後の手続きについて詳しく解説します。
試用期間とは?本採用前だから自由に辞められる?
試用期間は会社と働く人がお互いを確認する期間
試用期間は、採用された従業員の能力や適性、
勤務態度などを会社が確認するために設けられる期間です。
一般的には入社後3か月程度の試用期間を設ける会社もありますが、
期間は会社によって異なります。
一方、働く人にとっても、次のような点を確かめる機会になります。
- 面接で説明された仕事内容と実際の業務が一致しているか
- 職場の雰囲気になじめそうか
- 上司や同僚と協力して仕事ができるか
- 給与や労働時間などの条件に納得できるか
- 長く働き続けられる環境か
試用期間は、会社だけが従業員を評価するものとして考える必要はありません。
試用期間中も労働契約は成立している
試用期間中であっても、すでに労働契約は成立しています。
そのため、原則として労働基準法などの労働関係法令が適用されます。
「まだ正式採用ではないから給料を払わない」
「試用期間だから社会保険に加入させない」
といった扱いが当然に許されるわけではありません。
社会保険や雇用保険についても、加入要件を満たしていれば、
試用期間中から適切な手続きが必要です。
試用期間中でも退職できる?法律上のルール
期間の定めがない雇用契約の場合
一般的な無期雇用の正社員であれば、民法第627条第1項が基本となります。
法律上、労働者は退職を申し入れることができ、
原則としてその申し入れから2週間が経過すると雇用契約は終了します。
試用期間中だからといって、この基本的なルールがなくなるわけではありません。
ただし、円満退職のためには、就業規則の退職手続きも確認し、
できるだけ早めに申し出ることが望ましいでしょう。
契約期間が決まっている場合
注意したいのは、試用期間と有期雇用契約の違いです。
例えば、次の2つは同じではありません。
ケースA:期間の定めがない正社員で、最初の3か月が試用期間
この場合、基本的には無期雇用の退職ルールが適用されます。
ケースB:最初の3か月間だけの有期雇用契約を結んでいる
この場合、原則として契約期間中の一方的な退職には制限があります。
ただし、やむを得ない事由がある場合や、会社が退職に合意する場合などには、
契約期間の途中でも退職できることがあります。
まずは労働条件通知書や雇用契約書を確認しましょう。
試用期間の14日以内なら即日退職できる?
「試用期間の最初の14日以内なら、すぐ辞められる」という話を聞くことがあります。
しかし、これは法律上のルールを混同した説明です。
労働基準法には、使用者が試用期間中の労働者を解雇する際の解雇予告に関して、
雇入れから14日以内の例外があります。
これは会社による解雇予告の規定であり、
労働者が自由に即日退職できるという意味ではありません。
即日退職を希望する場合は、会社との合意が得られるかなど、
個別の事情を確認する必要があります。
なお、明示された労働条件と実際の条件が違う場合など、
別の法的ルールが関係するケースもあります。
試用期間中に退職する5つのメリット
メリット① 自分に合わない職場から早めに離れられる
仕事内容や職場環境が自分に合わないと感じることがあります。
もちろん、入社直後は慣れない仕事で戸惑うこともあるでしょう。
しかし、明らかに労働条件が違う場合や、
職場で深刻な問題が起きている場合、
早めに働き方を見直すことには意味があります。
メリット② 心身への負担を減らせる可能性がある
毎朝、出勤することが苦痛になっている。
会社のことを考えると眠れない。
休日も仕事の不安が頭から離れない。
こうした状態が続く場合は、心身の健康を大切にする必要があります。
ただし、不調がある場合は退職だけを解決策とせず、
医療機関や産業医への相談、休職制度の確認なども検討しましょう。
メリット③ 新しい仕事を探す時間を確保できる
早期退職によって、別の会社や職種を探す時間を作れる場合があります。
例えば、営業職として入社したものの、
実際に働いてみて事務職や技術職の方が自分に合うと気づくこともあるでしょう。
一度の就職が、自分の適性を考えるきっかけになる場合もあります。
メリット④ 会社への影響を比較的小さくできる場合がある
入社直後は、担当業務や取引先との関係がまだ限定的なことがあります。
そのため、本格的に担当業務を任される前に退職の意思を伝えた方が、
引き継ぎの負担が小さくなる場合があります。
ただし、会社の採用費用や教育費用がなくなるわけではなく、
職場への影響は状況によって異なります。
メリット⑤ 自分の働き方や価値観を見直せる
今回の経験から、
「自分は何を大切にして働きたいのか」
「給料と休日のどちらを優先したいのか」
「どんな職場環境なら長く働けそうか」
を考えることができます。
早期退職を単なる失敗として終わらせず、次の仕事選びに活かすことが大切です。
試用期間中に退職する5つのデメリット
デメリット① 収入が途絶える可能性がある
次の仕事が決まる前に退職すると、毎月の収入がなくなります。
一人暮らしなら家賃、光熱費、食費。
家族を支えている人なら住宅ローンや教育費など、
生活に必要なお金は続けて発生します。
早期退職を考える際には、今後の生活費を確認することが重要です。
デメリット② 次の転職活動で退職理由を質問される
試用期間中に退職すると、転職活動の面接で、
「なぜ短期間で辞めたのですか?」
と質問されることがあります。
短期離職だけで必ず不採用になるわけではありません。
しかし、採用担当者が継続勤務できるかを確認する可能性はあります。
退職に至った理由と、次の仕事選びで何を重視するようになったかを整理しておきましょう。
デメリット③ 入社直後の戸惑いだけで判断してしまう可能性がある
入社して間もない時期は、誰でも緊張するものです。
仕事を覚えることに精一杯で、失敗が続くこともあります。
「まだ慣れていないだけなのか」
「職場の問題が続いているのか」
を区別することが大切です。
デメリット④ 退職後の社会保険や年金の手続きが必要になる
退職後、すぐに次の会社へ入社しない場合は、
健康保険や年金の切り替えが必要になることがあります。
健康保険には、国民健康保険、任意継続、家族の扶養などの選択肢があります。
ただし、任意継続は原則として
退職前に継続2か月以上の被保険者期間などの条件が必要です。
試用期間中の短期退職では、加入条件を満たすか確認しましょう。
デメリット⑤ 失業保険をすぐにもらえるとは限らない
試用期間中に退職した場合、その会社での勤務期間だけでは
失業保険の受給要件を満たさないことがあります。
一般的な自己都合退職では、
原則として離職前2年間に12か月以上の雇用保険の被保険者期間が必要です。
ただし、以前の勤務先での加入期間を通算できる場合があります。
また、離職理由によって要件が異なることもあります。
退職後すぐに失業保険が支給されることを前提に、
生活費を計算しないようにしましょう。
メリットとデメリットを比較
| 比較項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 心身の負担 | 合わない環境から離れられる可能性 | 退職後の不安が生じることも |
| 転職 | 早く次の仕事を探せる | 短期離職の理由を質問される |
| 収入 | 次の仕事で条件改善を目指せる | 退職直後に収入がなくなる可能性 |
| キャリア | 自分の適性を見直せる | 現職で経験を積む機会を失う |
| 会社との関係 | 担当業務が少ないうちに相談できる場合がある | 採用・教育の途中で退職することになる |
試用期間中の退職には、良い面と難しい面の両方があります。
そのため、単に「辞めたい」という気持ちだけでなく、
退職後の生活まで含めて判断することが大切です。
退職を優先して考えたいケース
聞いていた労働条件と実際の条件が大きく違う
例えば、
「残業はほとんどないと聞いていたのに、
毎日のように長時間残業がある」
「求人票や労働条件通知書に記載された給与と実際の給与が違う」
といった場合です。
労働基準法第15条では、明示された労働条件が事実と異なる場合、
労働者が即時に労働契約を解除できる規定があります。
実際に該当するかどうかは事情を確認する必要があるため、契約書や給与明細、勤務記録などを保存し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
ハラスメントが続いている
上司から日常的に暴言を受ける。
人格を否定される。
相談しても会社が対応してくれない。
このような場合は、無理に我慢し続ける必要はありません。
社内の相談窓口、総合労働相談コーナー、医療機関などへの相談も選択肢です。
心身の不調が強い
出勤前に強い不安がある、眠れない日が続く、
食欲が落ちるなどの変化がある場合は、健康を優先しましょう。
受診や休養、労働環境の調整を検討することが大切です。
もう少し様子を見てもよいケース
一方で、すぐに退職を決めなくてもよい場合があります。
例えば、
- まだ仕事の手順を覚えていない
- 職場の人との関係ができていない
- 最初の研修が難しく感じる
- 業務内容は希望どおりだが、慣れるまで時間がかかりそう
- 上司が相談に応じてくれる
といった場合です。
もちろん、我慢することが正解とは限りません。
ただし、相談や業務調整によって改善できる問題なのかを確かめることには意味があります。
退職を決める前の3つの質問
質問① 今の問題は、時間がたてば改善しそうですか?
質問② 上司や会社に相談することで変えられることはありますか?
質問③ これ以上働き続けることで、健康や生活に大きな支障が出そうですか?
この3つを考えることで、今の状況を整理しやすくなります。
試用期間中に退職するときの進め方
ステップ① 雇用契約書と就業規則を確認する
まずは、次の事項を確認しましょう。
- 無期雇用か有期雇用か
- 試用期間の長さ
- 退職の申し出に関する規定
- 給与の締日と支払日
- 社会保険・雇用保険の加入状況
ステップ② 退職後の生活費を計算する
次の仕事が決まっていない場合は、
少なくとも家賃、食費、光熱費、通信費、保険料などの支出を整理します。
可能であれば、生活費の数か月分を確保しておくことも一つの方法です。
ただし、心身の不調や危険がある場合は、
貯蓄が十分になるまで無理に働き続けるのではなく、
相談窓口や支援制度も活用しましょう。
ステップ③ 上司に退職の意思を伝える
退職の意思が固まっている場合は、なるべく早めに上司へ伝えましょう。
「退職するかもしれません」という曖昧な伝え方よりも、
希望する退職日を明確に伝えることが重要です。
ステップ④ 必要な退職手続きを確認する
試用期間中であっても、貸与品の返却や書類の受け取りなどの手続きがあります。
退職後のトラブルを避けるためにも、会社の担当者と確認しておきましょう。
上司に退職を伝える会話例
例文① 仕事内容が合わなかった場合
「お時間をいただきありがとうございます。
入社してから実際の業務に取り組む中で、
自分の適性や今後の働き方について考えてきました。
大変申し訳ありませんが、現在の仕事内容を長く続けることは難しいと判断し、退職したいと考えています。
短い期間ではありますが、必要な手続きには誠実に対応したいと思っています。」
例文② 労働条件が説明と異なっていた場合
「入社前に説明を受けた労働条件と、実際の勤務状況に違いがあり、
今後の勤務について悩んでいます。
これまでの状況を踏まえ、退職を希望しています。
退職日や必要な手続きについて、ご相談させてください。」
例文③ 体調面の問題がある場合
「入社後、体調面で不安が続いており、
現在の勤務を継続することが難しいと感じています。
今後の健康と生活を考え、退職を希望しています。
必要な手続きを確認させていただければと思います。」
詳しい病状や家庭事情を、必要以上に説明する必要はありません。
ただし、休職や配慮を求める場合には、必要な範囲で状況を共有することがあります。
メールで退職を伝える場合の文例
件名:退職のご相談について
〇〇部長
お疲れ様です。〇〇部の〇〇です。
入社以来、ご指導いただきありがとうございます。
大変申し上げにくいのですが、
今後の働き方について慎重に検討した結果、
試用期間中ではありますが、退職を希望しております。
短い期間でこのような申し出をすることとなり、申し訳ありません。
退職日や必要な手続きについて、一度お話しする機会をいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
〇〇
※この例文は、上司と退職について話し合うための相談メールです。
退職の意思を法的に明確に伝える必要がある場合は、
雇用契約の種類を確認し、退職日を記載した退職届などの方法を検討してください。
試用期間中に退職するときのチェックリスト
退職前に、以下の事項を確認しましょう。
退職の意思と手続き
- 雇用契約が無期か有期かを確認した
- 就業規則を確認した
- 希望する退職日を整理した
- 退職の意思を会社に伝えた
- 退職に関する書類の控えを残した
お金と保険
- 最終給与の支払日を確認した
- 雇用保険の加入状況を確認した
- 離職票の交付について確認した
- 健康保険の切り替え方法を調べた
- 必要に応じて国民年金の手続きを確認した
- 当面の生活費を計算した
会社への返却・受け取り
- 社員証や入館証を返却した
- 制服や貸与されたパソコンなどを返却した
- 業務上の資料やデータを適切に引き継いだ
- 源泉徴収票など必要な書類の受け取り方法を確認した
試用期間中の退職でよくある質問
Q1.入社1週間でも退職できますか?
試用期間中でも退職を申し出ることはできます。
ただし、無期雇用では原則として申し入れから2週間というルールがあり、
有期雇用では異なるルールが適用されます。
会社と合意できれば、より早い退職日を設定できる場合があります。
Q2.試用期間中の退職は履歴書に書く必要がありますか?
短期間の勤務歴であっても、応募先が求める職歴の範囲や記載指示に従い、
事実を正確に伝えることが大切です。
特に、勤務歴を尋ねられた場合は、虚偽の説明を避けましょう。
面接では、退職理由だけでなく、
その経験を次の仕事選びにどう活かしたかを説明できるようにしておきましょう。
Q3.試用期間中の退職は損害賠償の対象になりますか?
試用期間中に退職したという理由だけで、
自動的に損害賠償責任が発生するわけではありません。
また、労働基準法第16条は、労働契約の不履行について、
あらかじめ違約金や損害賠償額を定める契約を禁止しています。
ただし、契約違反や実際の損害をめぐる個別の問題が生じる可能性はあるため、
請求された場合は安易に支払いを約束せず、専門家に相談しましょう。
Q4.試用期間中に有給休暇は取れますか?
法律上、年次有給休暇は原則として6か月の継続勤務と
8割以上の出勤などの条件を満たした場合に付与されます。
そのため、入社して間もない段階では、
法定の有給休暇がまだ発生していないことがあります。
ただし、会社が入社時から独自に有給休暇を付与している場合は、
その制度を確認しましょう。
Q5.試用期間中に辞めると失業保険はもらえませんか?
勤務期間が短い場合、そ
の会社の雇用保険加入期間だけでは受給要件を満たさないことがあります。
一方、以前の勤務先での加入期間を通算できる場合もあります。
実際に受給できるかは、離職理由や加入履歴などを踏まえてハローワークで確認してください。
Q6.退職を伝えるのが怖い場合はどうすればよいですか?
まずは話す内容をメモに整理し、
退職日や確認したいことを明確にしておきましょう。
対面での相談が難しい場合は、メールなどを活用する方法もあります。
強い引き止めやハラスメントがある場合は、
人事部や公的相談窓口への相談を検討しましょう。
まとめ|試用期間中の退職は「早いか遅いか」よりも理由が大切
試用期間中の退職は、必ずしも間違った選択ではありません。
一方で、慣れない環境への不安だけで退職を急ぐと、
後から「もう少し続ければよかった」と感じる可能性もあります。
今回のポイントを振り返りましょう。
- 試用期間中でも退職は可能
- 無期雇用と有期雇用では退職のルールが異なる
- 早期退職には心身の負担を減らせるなどのメリットがある
- 収入の中断や転職活動への影響といったデメリットもある
- 労働条件の相違や深刻なハラスメントがある場合は、早めに対応を考える
- 仕事に慣れていないだけなら、相談や環境調整も選択肢になる
- 退職後の生活費や社会保険の手続きを確認する
せっかく採用された会社です。
期待して入社した分だけ、辞める決断には勇気が必要でしょう。
しかし、採用されたことへの感謝と、自分の働き方を見直すことは両立できます。
大切なのは、会社に申し訳ないという気持ちだけで決めるのではなく、
自分の健康、生活、将来を含めて判断することです。
退職代行ラボは、退職そのものを勧めるサイトではありません。
今の職場で働き続ける方法も、新しい道を選ぶ方法も含めて、
あなたが納得できる選択をするための情報をお届けします。

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