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【第4回】治療中に退職するときの健康保険はどうなる?通院・傷病手当金・医療費で損をしないための手続き

治療中の退職で健康保険や医療費に悩む40代男性。退職後の通院継続、健康保険の選び方、傷病手当金の受給条件、医療費の負担について紹介する「退職代行ラボ」第4回のアイキャッチ画像。 退職後の生活と再出発
治療中に退職しても通院は続けられる?健康保険の切り替えや傷病手当金、医療費について、退職前に確認しておきたいポイントを解説します。

「病気の治療を続けているけれど、仕事を辞めたい」

「退職したら、今まで通っていた病院に通えなくなるの?」

「傷病手当金をもらっている途中で退職すると、支給は止まってしまう?」

「医療費が高いので、退職後の生活が心配……」

病気やけがの治療中に退職を考えると、仕事だけでなく、

健康保険や生活費の問題が気になります。

体調が悪いなかで、複雑な社会保険の制度を調べることは簡単ではありません。

しかし、退職前に制度を確認しておけば、
通院を続けながら生活を立て直せる可能性があります。

今回の「退職代行ラボ」第4回では、
治療中に退職する人が知っておきたい
健康保険、傷病手当金、医療費、退職前の手続き
について解説します。

退職を急ぐ前に、ぜひ確認しておきたい内容です。

※この記事は2026年10月時点の公的制度をもとにした一般的な解説です。

加入している健康保険や個別の状況によって取り扱いが異なるため、
最終的には保険者や自治体などに確認してください。

  1. 治療中でも会社を退職できる?
    1. 病気やけがの治療中でも退職は可能
    2. 退職以外の選択肢も確認しよう
  2. 退職すると健康保険はどうなる?
    1. 会社の健康保険は退職日の翌日に資格を失う
    2. 退職後の健康保険には3つの選択肢がある
    3. 任意継続健康保険
    4. 国民健康保険
    5. 家族の健康保険の扶養に入る
  3. 治療中に退職しても、病院への通院は続けられる?
    1. 健康保険を切り替えれば通院は継続できる
    2. 保険の切り替え中に通院日が来たら?
    3. 定期的に薬を処方されている人は?
  4. 傷病手当金とは?退職後も受け取れる?
    1. 傷病手当金は働けない期間の生活を支える制度
    2. 傷病手当金はいくらもらえる?
    3. 退職後も傷病手当金を受け取るための条件
  5. 退職後の医療費は高くなる?
    1. 保険診療の自己負担割合は原則変わらない
    2. 高額療養費制度を確認しよう
    3. 月の途中で健康保険が変わる場合に注意
  6. 医療費が心配な人が確認したい支援制度
    1. 自立支援医療制度
    2. 指定難病の医療費助成制度
    3. 医療費控除
  7. 治療中に退職する場合の生活費はどう考える?
    1. 医療費だけでなく、毎月の固定費を確認する
    2. 生活費の目安を計算してみよう
  8. 退職後の失業給付はどうなる?
    1. すぐに働けない場合は基本手当の対象にならないことがある
  9. 退職前に確認しておきたい7つのこと
  10. 会社に退職を伝えることが難しい場合は?
  11. よくある質問
    1. Q1.退職したら、通院中の病院を変える必要がありますか?
    2. Q2.傷病手当金をもらっている途中で退職すると、支給は止まりますか?
    3. Q3.退職日に会社へ出勤しても大丈夫ですか?
    4. Q4.国民健康保険と任意継続では、どちらが安いですか?
    5. Q5.傷病手当金を受け取りながら、失業給付ももらえますか?
  12. まとめ|治療中の退職は「健康・保険・生活費」をセットで考えよう

治療中でも会社を退職できる?

病気やけがの治療中でも退職は可能

病気やけがで通院しているからといって、
必ず会社に在籍し続けなければならないわけではありません。

体調が悪化して仕事を続けられない場合、退職を選択することもできます。

ただし、退職の申し出から実際の退職日までの取り扱いは、
雇用契約の種類や就業規則、法律上の条件などによって異なります。

退職以外の選択肢も確認しよう

仕事を辞めたいと感じたとき、
退職だけが唯一の選択肢とは限りません。

例えば、次のような方法があります。

  • 有給休暇を取得して療養する
  • 会社の休職制度を利用する
  • 勤務時間の短縮や業務内容の変更を相談する
  • 医師に仕事を続けられる状態か相談する
  • 産業医や人事担当者に相談する

会社に休職制度がある場合は、
利用条件や期間、休職中の社会保険料の負担について確認しておきましょう。

治療を続けることと、退職することを同時に決める必要はありません。

まずは体調の回復を優先し、そのうえで働き方を考えることも大切です。

退職すると健康保険はどうなる?

会社の健康保険は退職日の翌日に資格を失う

会社員として加入している健康保険は、
原則として退職日の翌日に被保険者資格を失います。

例えば、10月31日に退職した場合、
11月1日からは会社の健康保険を利用できません。

ただし、健康保険の資格が変わることと、
病院に通えなくなることは別の問題です。

退職後も新しい健康保険に加入すれば、
原則としてこれまでの医療機関で保険診療を受け続けられます。

退職後の健康保険には3つの選択肢がある

健康保険の種類主な特徴手続き先
任意継続健康保険退職前の健康保険を一定期間継続できる加入していた健康保険の保険者
国民健康保険市区町村が運営する健康保険に加入する住所地の市区町村
家族の健康保険の扶養条件を満たせば家族の被扶養者になれる家族の勤務先など

それぞれの制度を詳しく見ていきましょう。

任意継続健康保険

任意継続とは、退職後も一定の条件で、
それまで加入していた健康保険に引き続き加入できる制度です。

協会けんぽの場合、主な条件は次のとおりです。

  • 退職日まで継続して2か月以上の被保険者期間がある
  • 退職日の翌日から20日以内に申請する

加入できる期間は最長2年間です。

注意したいのは、保険料です。

在職中は会社が保険料の一部を負担していますが、
任意継続では原則として本人が全額負担します。

ただし、保険料には上限があるため、
必ず在職中の2倍になるとは限りません。

また、任意継続に加入したからといって、
新たに傷病手当金を受給できるわけではありません。

退職前からの継続給付には別の要件があります。

国民健康保険

任意継続を選ばない場合は、
国民健康保険に加入する方法があります。

保険料は前年の所得、世帯構成、
自治体などによって異なります。

前年の収入が多い場合は、
退職直後の保険料が予想以上に高くなることもあります。

一方、所得の減少や離職理由などによって、
軽減・減免制度の対象になる場合があります。

国民健康保険への加入手続きは、
原則として資格取得日から14日以内に行います。

家族の健康保険の扶養に入る

配偶者などが会社の健康保険に加入している場合は、
被扶養者になれる可能性があります。

扶養の認定には、収入や生計維持関係などの条件があります。

傷病手当金などの給付金が収入として扱われる場合もあるため、
退職後に無収入になるからといって、
必ず扶養に入れるわけではありません。

家族の勤務先を通じて、加入先の健康保険に確認しましょう。

治療中に退職しても、病院への通院は続けられる?

健康保険を切り替えれば通院は継続できる

「退職したら、通っている病院を変えなければならないのでは?」

このように心配する人もいるでしょう。

しかし、通常は退職を理由に病院を変更する必要はありません。

新しい健康保険への加入手続きを行い、
受診時に有効な資格情報を提示すれば、
引き続き保険診療を受けられます。

保険の切り替え中に通院日が来たら?

健康保険の切り替え手続き中で、
医療機関が新しい資格を確認できない場合、
一時的に医療費の全額を支払うよう案内されることがあります。

その場合でも、
後日、医療機関での精算や新しい保険者への療養費申請によって、
保険給付分が払い戻されることがあります。

ただし、必要な書類や手続きは状況によって異なります。

受診前に医療機関と加入先の保険者に相談し、
領収書や診療明細書を保管しておきましょう。

退職後は、資格を失った会社の健康保険をそのまま使用しないことが重要です。

定期的に薬を処方されている人は?

毎月の通院や継続的な服薬が必要な人は、
退職日と次回の受診日を確認しておきましょう。

特に、健康保険の切り替え期間と通院日が重なる場合は、
事前に病院へ相談しておくと安心です。

自己判断で通院や服薬を中断しないようにしてください。

傷病手当金とは?退職後も受け取れる?

傷病手当金は働けない期間の生活を支える制度

傷病手当金とは、
会社員などが業務外の病気やけがで働けなくなった場合に、
一定の条件で健康保険から支給される給付金です。

主な支給条件は次の4つです。

  1. 業務外の病気やけがで療養していること
  2. 療養のため仕事に就けないこと
  3. 連続する3日間の待期を完成し、4日目以降も仕事を休んでいること
  4. 休業期間について給与の支払いがないこと、
    または給与が傷病手当金より少ないこと

仕事が原因の病気やけがについては、労災保険の対象になる可能性があります。

傷病手当金はいくらもらえる?

傷病手当金の1日あたりの支給額は、原則として次の計算方法で求められます。

支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均額 ÷ 30 × 2/3

例えば、
平均標準報酬月額が30万円の場合、
概算では1日あたり約6,667円です。

30日分で考えると、およそ20万円になります。

ただし、実際の支給額は所定の端数処理や給与の支払い状況などによって異なります。

支給期間は、同一の傷病について、支給開始日から通算1年6か月です。

退職後も傷病手当金を受け取るための条件

退職後も傷病手当金を継続して受け取れる場合があります。

協会けんぽの場合、主な条件は次のとおりです。

  • 退職日までに継続して1年以上の健康保険の被保険者期間があること
  • 退職日時点で傷病手当金を受給している、または受給できる状態にあること
  • 退職日に出勤していないこと
  • 退職後も引き続き、療養のため働けない状態が続いていること

ここで注意したいのが、退職日の出勤です。

退職日に短時間でも出勤すると、
退職後の継続給付を受けられなくなる場合があります。

退職日に会社へあいさつに行く予定がある場合も、
勤務の扱いになるかどうかを事前に確認しましょう。

なお、退職後にいったん働ける状態になった場合は、
その後再び働けなくなっても、
原則として同じ継続給付を再開できません。

退職前に加入している健康保険の窓口へ、必ず確認してください。

退職後の医療費は高くなる?

保険診療の自己負担割合は原則変わらない

退職して健康保険が変わっても、
年齢や所得区分などの条件が同じであれば、
通常の保険診療の窓口負担割合が
退職だけを理由に高くなるわけではありません。

例えば、69歳以下で原則3割負担の人は、退職後も通常は3割負担です。

ただし、健康保険料の負担や高額療養費の所得区分などは
変わる可能性があります。

高額療養費制度を確認しよう

治療が長引く場合や、
入院・手術などで医療費が高額になる場合には、
高額療養費制度が重要です。

高額療養費制度とは、保険診療の自己負担額が、
ひと月の上限額を超えた場合に、
超過分の払い戻しなどを受けられる制度です。

上限額は年齢や所得などによって異なります。

また、差額ベッド代や入院時の食事代、
保険適用外の費用などは、原則として対象外です。

月の途中で健康保険が変わる場合に注意

高額療養費は、原則として暦月ごと、保険者ごとに計算されます。

そのため、月の途中で加入先が変わると、
退職前後の医療費が別々に計算され、
結果として自己負担が増える場合があります。

治療費が高額になる見込みがある人は、
退職日を決める前に、
加入中の健康保険と退職後の保険者に相談しておきましょう。

医療費が心配な人が確認したい支援制度

自立支援医療制度

精神疾患などで継続的な通院治療が必要な場合には、
自立支援医療(精神通院医療)の対象となる可能性があります。

対象となる医療について、
原則1割負担となり、
所得などに応じた月額負担上限が設定される場合があります。

利用には申請や指定医療機関などの条件があります。

精神科や心療内科に通院している人は、
主治医や自治体の窓口に相談してみましょう。

指定難病の医療費助成制度

指定難病の治療を受けている人は、
一定の条件で医療費助成を利用できる場合があります。

退職に伴い健康保険が変わった場合には、
受給者証の変更手続きなどが必要になることがあります。

医療費控除

1年間に支払った医療費が一定額を超える場合、
確定申告によって医療費控除を受けられることがあります。

医療費控除は、
支払った医療費がそのまま返金される制度ではなく、
所得税などの計算に関係する所得控除です。

治療中の人は、医療費の領収書や明細を整理しておきましょう。

治療中に退職する場合の生活費はどう考える?

医療費だけでなく、毎月の固定費を確認する

退職後の生活では、治療費以外にも支出が続きます。

例えば、次のような費用があります。

支出項目確認する内容
住居費家賃・住宅ローン
食費毎月必要な生活費
医療費通院・薬・入院など
健康保険料任意継続・国民健康保険など
年金保険料国民年金への切り替えや免除制度
住民税前年所得に基づく納付
通信・光熱費携帯電話・電気・ガス・水道

特に注意したいのは、退職後も健康保険料や住民税などの支払いが続くことです。

生活費の目安を計算してみよう

例えば、毎月の支出が次のような場合を考えてみます。

  • 家賃:70,000円
  • 食費:40,000円
  • 光熱費・通信費:25,000円
  • 医療費:15,000円
  • 保険料・税金など:40,000円
  • その他:20,000円

合計は月210,000円です。

仮に6か月分を確保するなら、126万円が一つの計算上の目安になります。

ただし、これは一般的なモデルケースであり、
すべての人に6か月分が必要という意味ではありません。

傷病手当金などの収入見込み、治療期間、家族構成、
貯蓄額によって必要な金額は変わります。

無理に退職を決めるのではなく、
まずは収入と支出を整理しましょう。

退職後の失業給付はどうなる?

すぐに働けない場合は基本手当の対象にならないことがある

雇用保険の基本手当は、原則として、働く意思と能力があり、
求職活動をしている人を対象とする制度です。

そのため、病気やけがで当面働けない場合には、
すぐに基本手当を受け取れないことがあります。

ただし、病気やけがなどで30日以上働けない場合には、
受給期間延長の手続きを利用できることがあります。

これは基本手当の支給日数そのものを増やす制度ではありません。

傷病手当金との関係も含め、
退職前後にハローワークへ相談しておきましょう。

退職前に確認しておきたい7つのこと

治療中に退職する場合は、次の項目を一つずつ確認しましょう。

  1. 主治医に相談する
    現在の体調で仕事を続けられるか、療養がどの程度必要かを確認する。
  2. 休職制度の有無を調べる
    退職前に利用できる制度がないか、人事担当者や就業規則で確認する。
  3. 傷病手当金の条件を確認する
    受給資格、待期期間、退職後の継続給付、退職日の扱いを保険者に確認する。
  4. 退職後の健康保険を比較する
    任意継続、国民健康保険、家族の扶養について、保険料と加入条件を比較する。
  5. 通院と薬の予定を確認する
    健康保険の切り替え時期と受診日が重なる場合は、医療機関へ相談する。
  6. 医療費の助成制度を調べる
    高額療養費、自立支援医療、指定難病の医療費助成など、利用できる制度を確認する。
  7. 退職後の生活費を計算する
    収入見込み、貯蓄、税金、保険料、医療費を整理する。

この7つを確認するだけでも、退職後の見通しを立てやすくなります。

会社に退職を伝えることが難しい場合は?

治療中の人のなかには、
上司と話すこと自体が大きな負担になっている人もいるでしょう。

その場合は、家族や医師、産業医、
労働相談窓口などに相談することも選択肢です。

退職代行サービスの利用を考える場合でも、
健康保険の手続きや傷病手当金の受給資格まで、
すべて代行してもらえるとは限りません。

退職代行サービスは
運営主体によって対応できる範囲が異なります。

退職条件や未払い賃金などについて法的な交渉が必要な場合は、
弁護士への相談も検討しましょう。

退職代行は、あくまで選択肢の一つです。まずは治療と生活を守る方法を優先してください。

よくある質問

Q1.退職したら、通院中の病院を変える必要がありますか?

原則として必要ありません。

新しい健康保険に加入し、適切な資格情報を提示すれば、
これまでの医療機関で保険診療を続けられます。

Q2.傷病手当金をもらっている途中で退職すると、支給は止まりますか?

必ずしも止まるわけではありません。

退職前の被保険者期間や退職日時点の状態など、
一定の条件を満たせば継続給付を受けられる場合があります。

Q3.退職日に会社へ出勤しても大丈夫ですか?

傷病手当金の継続給付を希望する場合は注意が必要です。

退職日に出勤すると、継続給付の条件を満たさなくなる場合があります。

退職日の勤務や有給休暇の扱いについて、保険者に事前確認しましょう。

Q4.国民健康保険と任意継続では、どちらが安いですか?

前年所得や扶養家族の人数、加入していた健康保険などによって異なります。

退職前に両方の保険料を試算することをおすすめします。

Q5.傷病手当金を受け取りながら、失業給付ももらえますか?

傷病手当金は療養のため働けないこと、
雇用保険の基本手当は原則として働く能力があることが前提です。

同じ期間に両方を受け取れると考えず、
健康保険の保険者とハローワークに相談しましょう。

まとめ|治療中の退職は「健康・保険・生活費」をセットで考えよう

病気やけがの治療中に仕事を辞めることは、
決して簡単な決断ではありません。

仕事から離れることで療養に専念できる場合もあれば、
収入が減ることへの不安が大きくなる場合もあります。

だからこそ、退職前に確認したいのは次の3つです。

① 健康を守ること
主治医と相談し、治療や通院を継続できるようにする。

② 保険制度を理解すること
健康保険の切り替え、傷病手当金、高額療養費などを確認する。

③ 退職後の生活を守ること
収入と支出を整理し、必要な手続きと生活費を把握する。

「退職代行ラボ」は、無理に退職をすすめるサイトではありません。

今の仕事を続けることも、休職することも、
退職して治療に専念することも、
あなたの状況に応じて考えられる選択肢です。

大切なのは、必要な制度を知らないまま、生活の見通しが立たない状態で退職してしまわないこと。

まずは体調を優先し、
利用できる支援を確認しながら、
これからの働き方を考えていきましょう。

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