「退職代行を使いたいけど、最初に何をすればいい?」
「LINEで相談したら、もう契約したことになる?」
「民間企業・労働組合・弁護士で申込み方法は違う?」
初めて退職代行を利用するとき、
意外と分かりにくいのが相談から申込みまでの流れです。
多くのサービスでは、
相談 → 内容・料金の確認 → 申込み・契約 → 支払い等 → 必要情報の共有 → 会社への連絡
という順番で進みます。
しかし、退職代行は誰が運営しているかによって、
その後に対応できる内容が違います。
そこでこの記事では、
■民間企業の退職代行
■労働組合の退職代行
■弁護士・法律事務所の退職代行
の3つに分けて、相談と申込みの流れを解説します。
まず知っておきたい「相談」と「申込み」は同じではない
退職代行を調べていると、
「LINE無料相談」
「24時間相談受付」
「まずは無料相談」
といった表示を見かけることがあります。
ここで重要なのが、
相談しただけで、必ず正式申込みになるわけではない
という点です。
一般的には、
相談=自分の状況を伝えて、対応可能か確認する段階
申込み=サービス内容・料金・条件などを確認したうえで、
正式に依頼する段階
と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、どの時点で契約が成立するか、
キャンセルできるか、支払い後の返金条件などはサービスによって異なります。
「LINEを送っただけだから大丈夫だろう」と決めつけず、
利用規約・契約条件・キャンセル規定を確認することが重要です。
退職代行の相談前に準備しておくもの
最初の相談では、長い文章を書く必要はありません。
ただし、次の情報を整理しておくと話が進みやすくなります。
■雇用形態、正社員・契約社員・パートなど
■無期契約か有期契約か
■希望する退職日
■最終出勤希望日
■有給休暇の残日数
■会社から借りている物
■会社に置いている私物
■未払い賃金・残業代の有無
■会社とのトラブルの有無
■損害賠償などを請求されているか
特に重要なのが、
「会社と交渉が必要になりそうか」
です。
単に本人の退職意思や連絡事項を会社へ伝えてほしいケースと、未払い賃金や損害賠償など法的な争いが生じているケースでは、依頼先の検討ポイントが変わります。
民間企業の退職代行|相談と申込みの方法
まずは株式会社などが運営する民間企業型です。
民間企業への相談
各サービスによって違いますが、一般的には、
LINE
問い合わせフォーム
メール
電話
などが相談窓口として使われています。
最初の相談では、
「正社員です」
「退職したいのですが、上司に直接言えません」
「○月○日から出社せずに退職したいです」
「有給休暇が○日残っています」
など、自分の状況を伝えます。
そのうえで、
自分のケースを取り扱えるか
料金はいくらか
追加料金はあるか
いつ会社へ連絡するのか
どこまで対応してくれるのか
を確認します。
民間企業への申込み
対応内容に納得したら、正式申込みへ進みます。
一般的なイメージは、
①相談
↓
②サービス内容・料金確認
↓
③利用規約・契約条件確認
↓
④正式申込み
↓
⑤料金の支払い
↓
⑥会社情報などを共有
↓
⑦退職意思等を会社へ伝達
です。
ただし、これはあくまで一般例です。
「支払い=契約成立」なのか、
「申込フォーム送信時点」なのかなどは各サービスの契約条件を確認してください。
民間企業型で特に確認したいこと
民間企業型では、
「会社に何を伝えてくれるのか」
を確認することが重要です。
弁護士法72条では、弁護士・弁護士法人ではない者が、報酬を得る目的で一般の法律事件について代理・和解その他の法律事務を業として扱うことを原則禁止しています。
そのため、
「弁護士監修だから何でも交渉できる」
と考えるのは適切ではありません。
「弁護士監修」と、
その弁護士があなた自身から依頼を受けて代理人として対応することは別です。
申込み前に、
「会社との連絡は誰が行うのか」
「会社が拒否した場合はどうなるのか」
「交渉や法的対応が必要になった場合はどうなるのか」
まで確認しておきましょう。
労働組合の退職代行|相談と申込みの方法
次は、労働組合が関わる退職代行です。
ここでは、
「労働組合だから民間企業より上」
と単純に考えないことが重要です。
厚生労働省によると、
労働組合とは、労働者が主体となって
労働条件の維持・改善や経済的地位の向上を
目的として組織する団体です。
憲法28条では団結権・団体交渉権・団体行動権が保障されています。
また、労働組合法では、
使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否することは
不当労働行為とされています。
労働組合への相談
相談窓口としてはサービスにより、
LINE
メール
Webフォーム
電話
などがあります。
ここで確認したいのは、
「どの労働組合が対応するのか」
です。
サイトに「労働組合提携」などと書かれていても、
相談窓口となるサービス運営者
実際に会社へ連絡する主体
団体交渉を行う労働組合
が同一とは限りません。
そのため、
「労働組合の正式名称は?」
「自分はどのような形で組合員になるのか?」
「会社と交渉する場合、誰が行うのか?」
を確認すると分かりやすくなります。
労働組合型は「加入方法」を確認する
労働組合型で特徴的なのが、
組合加入
です。
退職代行サービスによっては、
退職代行の利用とあわせて労働組合へ加入する仕組みになっています。
そのため申込み前に、
■加入手続きは必要か
■組合費は料金に含まれるか
■追加費用はあるか
■いつ組合員になるのか
■退職後の扱いはどうなるか
などを確認しておきましょう。
なお、厚生労働省は労働組合について、
行政機関の認可や届出がなければ結成できない組織ではなく、
労働者が複数人集えば自由に結成できると説明しています。
したがって、「行政から認可された労働組合か」
という確認方法だけで実態を判断するのは適切ではありません。
労働組合型への申込みの流れ
一般的には、
①相談
↓
②対応可能な内容を確認
↓
③労働組合・運営主体を確認
↓
④加入・申込み条件を確認
↓
⑤正式申込み・必要な加入手続き
↓
⑥料金等の支払い
↓
⑦会社情報・希望内容を共有
↓
⑧会社への連絡
↓
⑨必要に応じて団体交渉
というイメージです。
ただし、実際の加入方法や費用、
交渉の進め方は各組合・サービスによって異なります。
「労働組合なら何でも交渉できる」わけではない
ここは退職代行ラボで特に丁寧に説明しておきたい部分です。
労働組合には団体交渉権があります。
しかし、
労働組合=弁護士
ではありません。
労働組合には労働組合法に基づく団体交渉の仕組みがありますが、
弁護士は一般の法律事務を職務として扱う専門職です。
弁護士法3条は、弁護士が当事者等の依頼により
訴訟事件その他一般の法律事務を行うことを職務としています。
そのため、
■未払い残業代について法的紛争になっている
■会社から損害賠償請求を受けている
■訴訟対応が必要
などの場合は、
「その退職代行で最後まで対応できるのか」
を事前に確認する必要があります。
弁護士・法律事務所の退職代行|相談と申込みの方法
3つ目は弁護士・弁護士法人への依頼です。
弁護士法3条では、弁護士の職務として、
訴訟事件などに関する行為その他一般の法律事務を行うことが定められています。
退職意思を伝えるだけでなく、
会社と法的な争いがすでにある
場合には、相談先を検討する際の大きな違いになります。
弁護士への相談
弁護士・法律事務所によって、
電話
Webフォーム
メール
オンライン相談
面談
など相談方法は異なります。
参考として、日弁連の法律相談センターでは、インターネットまたは電話で予約し、氏名・連絡先・相談概要などを伝えたうえで相談する仕組みがあります。
ただし、退職代行を扱う各法律事務所の受付方法がすべて同じという意味ではありません。
弁護士への相談では「退職」だけでなくトラブルも伝える
例えば、
「退職したいです」
だけではなく、
未払い残業代がある
退職を拒否されている
会社から損害賠償すると言われた
ハラスメントについて相談したい
会社から書面が届いている
など、現在起きている問題を最初から伝えます。
資料があるなら、
雇用契約書
就業規則
給与明細
勤怠記録
会社とのメール・LINE
会社から届いた書面
などを準備しておくと、相談内容を整理しやすくなります。
弁護士型への申込み
一般的には、
①法律相談の予約・問い合わせ
↓
②事情を説明
↓
③弁護士が対応方針・費用等を説明
↓
④依頼範囲を確認
↓
⑤委任契約等の手続き
↓
⑥必要資料を提出
↓
⑦弁護士が依頼された範囲で対応
という流れになります。
ポイントは、
「どこまで弁護士へ依頼するのか」を確認すること
です。
退職の連絡だけなのか。
未払い賃金の請求も依頼するのか。
損害賠償問題への対応も含めるのか。
依頼範囲によって費用や対応内容が変わる可能性があります。
3つの運営主体で相談・申込みはどう違う?
整理すると、次のように考えると分かりやすいでしょう。
| 運営主体 | 相談時に特に確認したいこと | 申込み時のポイント |
|---|---|---|
| 民間企業 | どこまで連絡・伝達してくれるか | 契約内容・料金・追加料金・トラブル時の対応 |
| 労働組合 | どの組合が実際に対応するか | 組合加入・費用・誰が団体交渉するか |
| 弁護士 | 法的トラブルも含めて相談 | 弁護士との依頼関係・依頼範囲・費用 |
これは「どれが一番優れている」という比較ではありません。
重要なのは、
自分が何を依頼したいのか
です。
相談するときに使える質問テンプレート
初めて相談するときは、次の項目をまとめて伝えると整理しやすくなります。
正社員(または契約社員等)として勤務しています。
退職を希望しています。
希望退職日は○月○日です。
有給休暇は○日残っています。
会社とは現在○○という状況です。
私のケースでは、どこまで対応可能でしょうか。
総額はいくらになりますか。
追加料金が発生するケースはありますか。
会社との交渉が必要になった場合は誰が対応しますか。
特に最後の、
「誰が会社とやり取りするのか」
は重要です。
申込み前に確認したい8項目
正式に依頼する前に、少なくとも次を確認しておきましょう。
- 運営主体は誰か
- 会社へ実際に連絡するのは誰か
- どこまで対応してもらえるか
- 会社との交渉が必要になったら誰が対応するか
- 料金総額・追加料金
- キャンセル・返金条件
- トラブルになった場合の対応
- 契約期間が無期か有期か
特にホームページに、
「弁護士監修」
「労働組合提携」
「弁護士提携」
と書かれている場合は、
「監修・提携」
と
「その主体があなたの案件を直接担当すること」
を分けて確認
してください。
LINEだけで決めず、運営者情報も確認しよう
退職代行はLINEだけで相談から手続きまで進むサービスもあります。
手軽なのはメリットですが、
誰が運営しているのか分からないまま料金を支払う
のは避けたいところです。
申込み前には公式サイトで、
運営会社・団体名
所在地
問い合わせ先
料金
利用規約
キャンセル条件
プライバシーポリシー
なども確認しましょう。
労働組合型なら労働組合の正式名称、
弁護士型なら担当する法律事務所・弁護士についても
確認しておくとよいでしょう。
退職代行へ相談する前に公的窓口を使う方法もある
「そもそも退職代行が必要なのか分からない」
という段階なら、厚生労働省の総合労働相談コーナーもあります。
労働問題について情報提供や個別相談を行っており、
利用は無料です。助言・指導やあっせん制度についての案内も受けられます。
「相談したら退職代行を申し込まなければならない」と考えず、
まず状況を整理する方法もあります。
まとめ|相談では「できること」、申込みでは「誰がやるか」を確認しよう
退職代行を初めて利用するときは、
相談
↓
対応範囲・料金確認
↓
運営主体確認
↓
契約条件確認
↓
正式申込み
↓
必要情報共有
↓
会社への連絡
という順番で考えると分かりやすくなります。
そして運営主体ごとに見ると、
民間企業なら「どこまで対応するのか」
労働組合なら「どの組合に加入し、誰が団体交渉するのか」
弁護士なら「どの法律問題まで依頼するのか」
を確認するのがポイントです。
退職代行は、
「LINEで申し込めるから選ぶ」
だけではなく、
「誰に、何を、どこまで依頼するのか」
を確認してから申し込みましょう。


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