退職前後に必要な準備と手続きを時系列のチェックリストで総まとめ。
退職の伝え方、引き継ぎ、離職票、失業保険、健康保険、年金、住民税、退職後の生活費まで、
退職前に確認したいポイントを2026年版として解説します。
「会社を辞めたい。でも、退職した後の手続きがよく分からない……」
退職を考えている人にとって、
会社に退職の意思を伝えることは大きな決断です。
しかし、退職は会社を辞めたら終わりではありません。
健康保険、年金、失業保険、税金、生活費、そして次の仕事。
退職後も生活は続いていきます。
退職代行ラボでは、これまで11回にわたり、
退職を考える人が知っておきたい手続きや生活設計を紹介してきました。
第12回となる今回は、退職前から退職後までの流れを、
チェックリスト形式で総まとめします。
今すぐ辞めるつもりがない人も、将来に備えて確認しておきましょう。
退職前に最初に確認したいこと
退職を考え始めたら、まず確認したいのは「本当に退職するしかないのか」ということです。
例えば、次のような状況はありませんか?
- 仕事量が多すぎて疲れている
- 上司との人間関係に悩んでいる
- 残業が続き、家族との時間がない
- 給料や待遇に不満がある
- 心身の不調を感じている
- 別の仕事に挑戦したい
理由によっては、部署異動、勤務条件の変更、
休暇の取得、専門家への相談など、退職以外の選択肢もあります。
もちろん、無理をして働き続ける必要があるという意味ではありません。
大切なのは、退職するかどうかを、
可能な範囲で落ち着いて判断できる状態をつくることです。
退職を決める前のチェックリスト
- 退職したい理由を紙に書き出した
- 仕事上の問題と生活上の問題を整理した
- 部署異動や勤務条件の変更を検討した
- 信頼できる人に相談した
- 体調に不安があれば医療機関などに相談した
- 退職後の生活費を計算した
- 次の仕事をどうするか考えた
すべてにチェックが入らなくても構いません。
自分にとって何が最も重要なのかを整理することから始めましょう。
退職1〜3か月前|お金と働き方を確認する
退職後に最も心配になりやすいのは、収入が途絶えることです。
特に一人暮らしの人や、家族の生活費を支えている人は、
退職後の支出を具体的に把握しておくことが大切です。
生活費はいくら必要?
例えば、毎月の支出が次のような家庭を考えてみましょう。
| 支出項目 | 月額 |
|---|---|
| 家賃・住宅ローン | 80,000円 |
| 食費 | 50,000円 |
| 水道光熱費 | 20,000円 |
| 通信費 | 15,000円 |
| 保険・医療費 | 20,000円 |
| 日用品・交通費 | 25,000円 |
| その他 | 40,000円 |
| 合計 | 250,000円 |
この家庭では、毎月25万円が必要です。
単純計算では、3か月分で75万円、6か月分で150万円になります。
ただし、退職後は健康保険料、年金保険料、住民税などの負担が変わる可能性があります。
実際の必要額は、これらも含めて計算しましょう。
また、貯蓄が十分でない場合でも、退職が必要な事情はあります。生活費の不足が予想されるときは、公的支援や相談窓口も確認してください。
退職前のお金のチェックリスト
- 毎月の生活費を把握した
- 現在の貯蓄額を確認した
- 退職金の有無と支給条件を確認した
- 賞与の支給条件を確認した
- 退職後の健康保険料を調べた
- 年金保険料を確認した
- 住民税の支払いを見込んだ
- 家族と家計について話し合った
退職1か月前まで|会社への意思表示と退職日の確認
退職を決めたら、会社への伝え方を考えます。
まず、就業規則や雇用契約書を確認しましょう。
退職の申出期限や、退職届の提出方法が記載されていることがあります。
ただし、就業規則の記載が、そのまま法律上の退職の可否を決めるわけではありません。
期間の定めのない雇用契約では、民法627条により、原則として退職の申入れから2週間で雇用契約が終了する仕組みがあります。月給制などの報酬期間に関する取扱いや、期間の定めがある契約では注意点が異なるため、個別事情に応じた確認が必要です。
円満退職を目指す場合は、業務の引き継ぎ期間も考慮して、余裕を持って伝えることが望ましいでしょう。
退職の意思を伝えるときの例文
「お忙しいところ、お時間をいただきありがとうございます。
今後の働き方について考えた結果、退職したいと考えております。
退職希望日は○月○日です。
業務の引き継ぎについても、できる限り対応したいと思います。」
伝える内容は、できるだけ簡潔にまとめましょう。
会社への連絡チェックリスト
- 就業規則と雇用契約書を確認した
- 退職希望日を決めた
- 有給休暇の残日数を確認した
- 退職の意思を伝える方法を考えた
- 退職届が必要か確認した
- 最終出勤日と退職日を区別して確認した
- 引き継ぎの予定を立てた
なお、強い引き止めやハラスメントなどで困っている場合は、労働局の総合労働相談コーナーなどに相談できます。
退職2週間前〜最終出勤日|引き継ぎと返却物を確認する
退職日が近づいたら、仕事の引き継ぎを進めます。
引き継ぎ内容は、口頭だけでなく、可能であれば文書にまとめましょう。
担当している業務、進行中の案件、取引先との連絡状況、今後の予定などを整理しておくと、後任者も対応しやすくなります。
また、会社から貸与されたものは返却する必要があります。
最終出勤日までのチェックリスト
- 担当業務の引き継ぎ資料を作成した
- 取引先や社内の連絡先を整理した
- 進行中の案件を引き継いだ
- パソコン・スマートフォンなどの貸与品を返却した
- 社員証・入館証・制服などを返却した
- 会社の機密情報や個人情報を持ち出していない
- 経費精算を済ませた
- 最終給与の支払日を確認した
- 退職後に必要な書類の送付先を伝えた
注意したいのは、会社の資料を無断で持ち出さないことです。
一方、労働条件通知書、給与明細、自分の勤怠記録など、労働条件や未払い賃金の確認に必要な資料については、適法な方法で保存・確認しておくことが役立つ場合があります。
退職時に受け取る書類を確認する
退職後の手続きでは、会社から受け取る書類が重要になります。
代表的なものを確認しましょう。
| 書類 | 主な用途 |
|---|---|
| 離職票 | 雇用保険の基本手当の申請 |
| 雇用保険被保険者証 | 雇用保険の加入情報の確認 |
| 源泉徴収票 | 年末調整・確定申告 |
| 健康保険資格喪失証明書など | 国民健康保険などへの加入 |
| 退職証明書 | 退職した事実や在職期間などの証明 |
| 年金・企業型DC関連書類 | 年金資産の確認や移換手続き |
すべての書類が全員に必要というわけではありません。
例えば、離職票は失業給付の申請予定などに応じて必要になります。
また、会社から届く時期は書類によって異なります。
書類のチェックリスト
- 離職票の交付を依頼・確認した
- 源泉徴収票の交付を確認した
- 雇用保険被保険者証を確認した
- 健康保険の資格喪失を証明する書類を確認した
- 必要に応じて退職証明書を請求した
- 企業年金や企業型DCの書類を確認した
- 書類が届かない場合の問い合わせ先を確認した
退職翌日から|健康保険の切り替え
会社の健康保険は、通常、退職日の翌日に被保険者資格を失います。
退職後の健康保険には、主に3つの選択肢があります。
任意継続
一定の条件を満たす場合、退職前の健康保険を引き続き利用できる制度です。
協会けんぽでは、原則として退職日まで継続2か月以上の被保険者期間があり、退職日の翌日から20日以内に申請することなどが必要です。
保険料は原則として本人が全額負担しますが、上限などの取扱いがあります。
国民健康保険
住所地の市区町村で加入手続きをします。
一般的には、資格を失った日から14日以内の届出が必要です。
保険料は前年所得や世帯構成、自治体によって異なります。
家族の健康保険の扶養
配偶者などの健康保険の被扶養者になる方法です。
収入などの条件を満たす必要があります。
失業給付の受給状況によっては扶養に入れない場合もあるため、家族の勤務先などに確認しましょう。
健康保険のチェックリスト
- 任意継続の保険料を確認した
- 国民健康保険の保険料を確認した
- 家族の扶養に入れるか確認した
- 加入先を決めた
- 必要書類を準備した
- 申請期限を確認した
- 通院中の場合、医療機関への資格情報の伝え方を確認した
退職後14日以内を目安に|国民年金の切り替え
会社員として厚生年金に加入していた人が退職し、すぐに再就職しない場合は、国民年金への切り替えが必要になることがあります。
日本国内に住む20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金の加入対象です。
退職後、配偶者の扶養に入る場合には、第3号被保険者になるケースもあります。
国民年金第1号被保険者への切り替えは、原則として退職日の翌日から14日以内に手続きします。
収入が減って保険料の支払いが難しい場合には、免除・納付猶予制度も検討しましょう。
年金のチェックリスト
- 自分が第1号・第3号のどちらに該当するか確認した
- 必要な切り替え手続きを確認した
- 国民年金保険料を確認した
- 免除・納付猶予の対象になるか調べた
- 企業年金・企業型DCの有無を確認した
- 企業型DCの資産移換期限を確認した
企業型DCを利用していた人は、退職後の移換手続きを放置しないようにしましょう。
退職後|失業保険の手続きを確認する
退職後、再就職を希望して求職活動を行う場合、
条件を満たせば雇用保険の基本手当を受給できます。
申請は、住所地を管轄するハローワークで行います。
基本的な流れ
- 会社から離職票を受け取る
- ハローワークで求職申込みをする
- 受給資格の確認を受ける
- 原則7日間の待期期間を経る
- 給付制限がある場合は、その期間を経る
- 指定された日に失業認定を受ける
- 認定された内容に応じて基本手当が支給される
2025年4月1日以降の退職について、
正当な理由のない自己都合退職では、給付制限は原則1か月です。
ただし、過去の離職状況などによって3か月になる場合があります。
また、一定の教育訓練を受ける場合には、
給付制限が解除される制度もあります。
なお、受給開始までの期間や受給額は、
離職理由、加入期間、年齢などによって異なります。
失業保険のチェックリスト
- 離職票を受け取った
- 離職理由の記載を確認した
- ハローワークの所在地を確認した
- 必要書類を準備した
- 受給資格と給付日数を確認した
- 求職活動の予定を立てた
- 失業認定日を確認した
- アルバイトなどの就労を正しく申告することを理解した
病気やけがなどですぐに働けない場合は、
基本手当の受給ではなく、受給期間の延長などが関係することがあります。
自分の状態に合わせて確認しましょう。
退職後に忘れやすい税金の手続き
退職すると、
給与から自動的に引かれていた税金の支払い方が変わることがあります。
住民税
住民税は、原則として前年の所得を基に計算されます。
そのため、退職後に収入が減っても、
前年所得に基づく住民税の支払いが残る場合があります。
退職時期によっては、
最後の給与から残額がまとめて徴収されることもあります。
会社や自治体に、退職後の納付方法を確認しましょう。
所得税
年の途中で退職し、同じ年に再就職した場合は、
新しい勤務先で前職分を含めて年末調整を受けるのが原則です。
一方、再就職しなかった場合は、
確定申告によって所得税の還付を受けられることがあります。
源泉徴収票は大切に保管してください。
税金のチェックリスト
- 住民税の残額を確認した
- 退職後の住民税の納付方法を確認した
- 源泉徴収票を保管した
- 年末調整の対象になるか確認した
- 確定申告が必要か確認した
- 退職金がある場合は税務上の手続きを確認した
退職後1〜3か月|生活と再就職の準備
退職後は、手続きだけでなく生活リズムを整えることも大切です。
仕事から離れた直後は、安心する人もいれば、不安を感じる人もいます。
特に、長期間ストレスを抱えていた人は、まず休息が必要な場合もあります。
ただし、生活費や公的手続きの期限は待ってくれません。
無理のない範囲で、生活と再就職の準備を進めましょう。
退職後の生活チェックリスト
- 毎月の生活費を再確認した
- 不要な固定費を見直した
- 健康保険と年金の手続きを済ませた
- 住民税の納付予定を確認した
- 生活リズムを整えている
- 必要に応じて医療機関や相談窓口を利用している
- 再就職に必要な資格や経験を整理した
- 履歴書・職務経歴書を準備した
- 求人情報や職業訓練制度を調べた
退職前後の手続きを時系列で総まとめ
ここまでの内容を一覧表にしました。
| 時期 | 確認すること | 主な相談・手続き先 |
|---|---|---|
| 退職を考え始めたとき | 退職理由、健康状態、生活費 | 家族、医療機関、労働相談窓口 |
| 退職1〜3か月前 | 貯蓄、退職金、保険、転職活動 | 勤務先、保険者など |
| 退職希望日の前 | 退職意思の伝達、退職日 | 勤務先 |
| 最終出勤日まで | 引き継ぎ、貸与品返却 | 勤務先 |
| 退職時〜退職後 | 離職票、源泉徴収票など | 勤務先 |
| 退職後20日以内 | 任意継続を選ぶ場合の申請 | 協会けんぽ・健康保険組合 |
| 退職後14日以内を目安 | 国民健康保険・国民年金の届出 | 市区町村など |
| 離職票受領後 | 基本手当の受給手続き | ハローワーク |
| 退職後 | 住民税の納付方法 | 勤務先・市区町村 |
| 年末〜翌年 | 年末調整・確定申告の確認 | 新勤務先・税務署 |
| 退職後1〜3か月 | 生活費見直し、再就職準備 | ハローワークなど |
※期限は加入制度や個別事情によって異なります。特に健康保険・年金・企業型DCは早めに確認してください。
退職代行サービスを検討する場合のチェックリスト
「上司が怖くて退職を伝えられない」
「退職を申し出たのに、話を聞いてもらえない」
このような場合、退職代行サービスを検討する人もいるでしょう。
ただし、すべての人に退職代行が必要なわけではありません。
まずは、自分で伝える方法、労働相談窓口への相談、
弁護士への相談なども含めて考えてみましょう。
退職代行を利用する場合は、運営主体と対応範囲を確認することが重要です。
退職代行を検討するときのチェックリスト
- 自分で退職を伝えることが難しい理由を整理した
- 労働相談窓口などの利用を検討した
- サービスの運営主体を確認した
- 料金と追加費用を確認した
- 会社との交渉に対応できる資格・権限を確認した
- 有給休暇、未払い賃金などの問題を整理した
- 契約内容と返金条件を確認した
- 退職後の書類受領方法を確認した
一般の民間事業者が、報酬を得て法律事務に当たる交渉を行うことには、
弁護士法上の問題が生じる可能性があります。
未払い賃金や損害賠償などの紛争がある場合は、
弁護士など適切な専門家に相談することが重要です。
最後に確認したい「退職前後の10項目」
最後に、退職前後で特に重要な10項目をまとめます。
- ① 退職理由と今後の希望を整理した
- ② 退職後の生活費と貯蓄を確認した
- ③ 退職日と最終出勤日を確認した
- ④ 会社への連絡と引き継ぎを進めた
- ⑤ 離職票・源泉徴収票などを確認した
- ⑥ 健康保険の加入先を決めた
- ⑦ 国民年金などの手続きを確認した
- ⑧ 失業保険の受給条件を確認した
- ⑨ 住民税・所得税の支払いを確認した
- ⑩ 退職後の生活と再就職の計画を立てた
この10項目を確認するだけでも、
退職前後の準備が整理しやすくなります。
まとめ|退職は終わりではなく、これからの生活につながる選択
退職には、さまざまな理由があります。
新しい仕事に挑戦したい人。
家族との時間を増やしたい人。
心身の負担を減らしたい人。
今の職場で働き続けることが難しくなった人。
どのような理由であっても、退職後の生活は続いていきます。
だからこそ、退職前に確認できることは、少しずつ整理しておきたいものです。
そして、退職することだけが正解ではありません。
働き続けること、休職すること、相談すること、転職すること。
自分にとって無理のない選択肢を考えることが大切です。
退職代行ラボは、退職を勧めるためだけのサイトではありません。
働く人が悩みを整理し、
自分と家族の生活を守るための判断材料を届けることを目指しています。
今回の第12回で、退職手続きシリーズはひと区切りです。
これまでの内容を必要なときに読み返し、
退職前後の準備に役立てていただければ幸いです。
※本記事は2026年10月時点の一般的な制度を基にした情報です。
個別の事情や法改正によって取扱いが異なるため、
最新情報は公的機関で確認してください。


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